介護に明け暮れていた家族が近所にいたの。
大きな敷地にログハウスみたいな小さな家と、手作りかな?っていうブランコがあって。
本当におとぎ話に出てきそうな、素敵なおうちで、いつも通りすぎる時に、幸せな家族っていう空気が漂ってて。
でもね、ある日、介護が終わったらしいという噂が聞こえてきて。
そしたら突然引っ越しをしたみたいで。
数ヵ月後には、とんでもない御殿が二軒建って。
それまで平屋のログハウスみたいなかわいいおうちだったのが、敷地いっぱいにテカテカした石を貼ったビルみたいな家が建ったんだよね。
のちのち聞いたら、元々住んでた家族は相続で追い出されたらしいって聞いて。
もう、その家の前を通る度に、子供ながらに嫌悪感しかなく。
なんなの、この趣味の悪い家!って毎日思ってた。
でも数年経って、その追い出された家族の子供たちは、偏差値70の学校に受かって、キャリアを積んでるって聞いて。
結局、そうなるんだなって。
住む場所が変わっても、どんな扱いを受けても、幸せな人ってずっと幸せなのかもしれないって、思ってる。
きっと、そういう人がキャリア官僚になって、世の中の理不尽を正していってくれる、って信じてる。